再びあの場所へ

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再びあの場所へ

「アリシアー!会いたかったよー!」 大河が車で迎えに来てくれ、瞳子は懐かしいオフィスに戻ってきた。 ドアを開けるなり飛びつこうとした透の頭を、大河がガシッと押さえつける。 「それ以上近づいてみろ。タダじゃ済まんぞ」 「ガラ悪っ!大河、性格変わった?」 「お前ほどじゃない」 スタスタと奥のデスクに向かった大河の後ろで、瞳子は困ったように眉を下げて苦笑いする。 「やれやれ、毎度のことながらうるさい二人だな。ごめんね、瞳子ちゃん。さ、座って」 「はい」 洋平に促されて、瞳子はソファに腰を下ろした。 まずはコーヒーでも、と吾郎がカップを渡してくれて、3人で雑談する。 その周りをちょこまかと透が動き回っていたが…。 「それで、瞳子ちゃんに頼みたいことは、大まかにここにまとめておいたんだ。出来るところだけで構わないから、少しずつ取り掛かってくれる?分からないことは何でも聞いてね」 「はい。ありがとうございます、洋平さん」 受け取った書類を早速パラパラとめくってみる。 「ひゃー!なかなかタイトなスケジュールですね」 「そうなんだよ。このままじゃ、俺の体型ももやしみたいになるところだったよ。良かった、瞳子ちゃんが来てくれて」 「吾郎さんがもやしに?あはは!それは相当過酷ですね」 「だろ?瞳子ちゃんも言ってやってよ、あの悪代官みたいな大河にさ」 アリシア、俺もさ、君がいないとカイワレ大根みたいになるところでさ、としきりに透もアピールする。 「よし!じゃあ早速取り掛かりますね。吾郎さんがもやしになったら大変だもの」 瞳子は腕まくりして気合いを入れた。 俺もさ、カイワレ大根になりたくないんだよねと、もはやBGMのような透の声がする。 「じゃあ瞳子ちゃん、俺の隣のデスク使って。その方が説明しやすいから」 洋平がそう言うと、瞳子は、はいと返事をしてソファから立ち上がった。 反対の隣は俺なんだよ、アリシア、と透が後ろからついてくる。 瞳子は席に着くと、くるっと右に向きを変えて透と向き合った。 「透さん、またよろしくお願いしますね」 にっこり笑う瞳子に、透は言葉も忘れて見とれる。 「何だよ、おい。肝心な時に無口になるんだな」 吾郎の茶々も耳に入る様子はなく、透はただポーッと顔を赤くしていた。
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