再びあの場所へ

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「大河さん、雪の結晶についてまとめた資料です。ここに置いておきますね」 「ん、サンキュー」 次回のミュージアムのテーマは 【六花(りっか)〜雪の芸術〜】 大河はその映像を作るのにかかり切りだった。 少しでも役に立てば…と、瞳子は本やインターネットで調べた内容をまとめて綴じていた。 「うわ、分厚っ!こんなにあるのか」 瞳子の資料を手にして、大河が驚いたように言う。 瞳子は赤いサインペンを持ってくると、大河の席の隣で身を屈めて資料を一緒に覗き込んだ。 「雪の結晶は、大きく分けると8種類ほどに分類されます。それがこの部分です」 そう言って、手にしたペンで丸く囲む。 「形は六角形であるというのが一番の特徴で、五角形や八角形のものはありません。多様な形があり、分子レベルで見ると、1つとして同じものは存在しないのだとか。主に…」 説明しながら、赤線を引いたり四角く囲んだりして、見やすいテキストのように仕上げていく。 「分かった、ありがとう」 最後に大河は納得したように大きく頷いた。
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