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「あれ?間宮さんじゃない。どうしたの?なんでアートプラネッツの打ち合わせに間宮さんが?」
ホーラ・ウォッチの本社を訪れると、担当の沼田は瞳子の顔を覚えていたらしく、不思議そうに聞いてくる。
「あ、はい。実は今、アートプラネッツで仕事をしておりまして。次回の新作モデル発表イベントは、わたくしが窓口となって色々とお話を聞かせて頂ければと存じます」
「そうなんだ!それなら話が早くて助かるよ。君は春のイベントもよく知ってるしね。あ、もちろん次回のイベントも司会を頼めるよね?」
えっと…と、瞳子は視線を外して言葉を選ぶ。
「ご依頼頂くことは大変ありがたいのですが、もしかすると私が司会をすることで、御社にご迷惑をおかけすることになるかもしれませんし…」
ん?と沼田は首をひねる。
「どういうこと?」
「あ、はい。春のイベントの時の私の写真がSNSで投稿されて、ちょっとした騒ぎになりまして…」
そこまで言うと、ようやく思い当たったようだ。
「ああ!そのことか。いや、こちらは全く迷惑ではないよ。むしろ良い宣伝になって…、おっと。君にこんなことを言うのは不謹慎だね、ごめん。君は大変だったんだよね。でももし君さえ良ければ、今回も司会を頼めないかな?実は、谷崎 ハルさんにも引き続きイメージキャラクターとして登壇をお願いしてるんだけど、司会はぜひ間宮さんにって彼女から言われてるんだ」
「谷崎さんから、ですか?」
「そう。前回とてもやりやすかったからって。どうかな?引き受けてもらえる?」
瞳子は少し思案して、即答は避けることにした。
「一旦、事務所にも確認してからお返事差し上げてもよろしいでしょうか?なるべく早くご連絡致しますので」
「そう、分かった。良い返事を期待しているよ。じゃあ今日は、アートプラネッツのプロジェクションマッピングの方を詰めようか」
「はい、かしこまりました」
瞳子はメモとパソコンを用意して、今回の新作モデルの詳細や映像のイメージについてじっくり沼田と話し合った。
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