再びあの場所へ

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「ミュージアムの進捗どうなってる?」 忙しくそれぞれが自分の役目をこなす日々が続く。 仕事に関しては互いに信頼して任せているが、時折、皆で作業の進み具合を共有して、漏れがないかを確認していた。 「オープニングイベントに関しての準備は、お子様の募集まで終わっています。ゲストのリストアップ、招待状の作成も完了。あと、ミュージアムショップで販売するオリジナルグッズについては、業者からサンプルが送られてきました。今日届いたばかりです」 そう言って瞳子は、中央の丸テーブルにグッズを並べる。 雪の結晶をモチーフにしたキーホルダーやクリアファイル、ボールペンやステッカー、ハンドタオル、といった定番のものから、ヘアアクセサリーやネックレス、ブレスレットなどもあった。 「へえ、アクセサリーか。そう言えば今まで俺達、オリジナルグッズにはアクセサリーを扱っていなかったな。これ、瞳子ちゃんのアイデア?」 「はい。業者の方と相談して、手頃な価格とオーソドックスなデザインでサンプルを作って頂きました」 どうでしょうか?と少し自信なさげに聞くと、皆はそれぞれ手に取ってじっくり見てみる。 「うん。キラキラして綺麗だし、女の子が喜びそうだね」 「今回のメインターゲットはカップルだから、彼からプレゼントするのにもちょうどいいな」 「お揃いで持てるように、男性用にはネクタイピンとか作ってもいいかもしれない」 おおむね好評を得られてホッとしていると、最後に大河が瞳子に尋ねた。 「価格帯は?手が出ないほど高価だと困る」 「あ、はい。アクセサリーには全てキュービックジルコニアを使用していますので、数千円以内です」 そうなの?!と他の3人も驚いてまじまじと見つめ直す。 「ダイヤモンドとほとんど変わらない綺麗さだから、そんなに手頃な値段なんてびっくりだよ」 「はい。キュービックジルコニアは、ダイヤモンドを真似て作られた人工石なんです。屈折率が高くてダイヤモンドに近い輝きを持ちながら、価格は遥かにリーズナブルなので、普段使いのアクセサリーやちょっとしたプレゼントにも喜ばれるかと」 「それならミュージアムショップに並べてもいいね!」 「ああ。大河も賛成でいいか?」 「そうだな。今回のミュージアムのコンセプトにも合ってる」 「じゃあ瞳子ちゃん、このまま進めてくれる?」 「はい!」 瞳子は張り切って返事をした。 「あとは、冬なのでサーモタンブラーやステンレスボトルも考えていて。こちらがサンプルです。他にもマグカップと、あとは冷たい飲み物を注ぐと雪の結晶の柄が浮かび上がるグラスも」 「ひゃー、何これ!俺が欲しいんだけど!」 透が目の色を変えて手に取る。 「これはアリでしょう。アリ寄りの大アリ!アリシアのアリ!」 「透、お前ボキャブラリーかなり変だぞ?」 吾郎が呆れるが、手にしたグッズには頷いて賛同した。 「これもゴーサインだな。だろ?大河」 「ああ」 「しかし、女の子が入ってくれるとこうも違うんだな。よく今まで男だけで考えてたもんだよ」 「確かに。だからグッズの売り上げもあまり良くなかったのか。ようやく分かったよ」 あはは!と洋平達は自虐的に笑う。 「じゃあ瞳子ちゃん。色々とよろしくな」 「はい、かしこまりました」 瞳子は自分のアイデアが採用され、形になっていくことが嬉しく、この仕事にやり甲斐を感じていた。
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