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空間の支配者
『瞳子ちゃん!またホーラ・ウォッチのイベントで会えるのね。楽しみ!』
帰宅してスマートフォンを確認すると、谷崎 ハルからメッセージが届いていた。
連絡先を交換してから時々やり取りをして、互いに「瞳子ちゃん」「ハルさん」と呼び合う仲になっていた。
『そうなんです!ハルさんが私を司会にと、お口添えくださったと聞きました。ありがとうございます』
『ううん。私こそ、瞳子ちゃんと一緒がいい!ってお願い聞いてもらって、ありがとう!ねえ、瞳子ちゃん。当日はクリスマスも近いし、プレゼント交換しない?』
『ええー?!ハルさんと私が?そんな、身分が違いますから』
『身分って!何それ、どんな身分よ?ね、いいでしょ?お互い中身は内緒でね』
『えー!ハルさんにプレゼントなんて、私の全財産注ぎ込んでも無理そうです』
『やだ!いったい何を用意するつもりなの?予算はね、1050円!』
『1050円?!どうしてまた?』
『瞳子ちゃんの名前が、とうこ、だから』
『あはは!ハルさんったら面白い』
二人して他愛もない話を楽しむ。
『じゃあ、決まりね!お互い用意して控え室で交換しましょ』
『分かりました。えー、何にしようかな…』
『フフ、楽しみ!』
『1050円ちょうどの物なんてあるかな?』
『んー、ないでしょうねww』
『じゃあ、ニアピン賞で近い方が勝ちっていうのは?』
『おっ、それいい!よーし、負けないわよ!』
相手が芸能人だということも忘れて、瞳子はハルとのやり取りをごく自然に楽しんでいた。
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