空間の支配者

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「わあ!可愛い!サンタとトナカイとクリスマスツリーだ」 ハルは、ラッピングされたクッキーを見て目を輝かせる。 「すごーい、とっても可愛い!食べられないわ、こんな素敵なクッキー」 瞳子はハルに渡すプレゼントとして、やはり消え物がいいと思い、アイシングクッキーのクリスマスセットを用意していた。 ミュージアムのイベントで配るクッキーを依頼した製菓店の商品で、美味しさは試食済みだった。 「食べる前に写真撮らなきゃ!瞳子ちゃん、シャッター押してもらっていい?」 「はい」 ハルはクッキーがよく見えるように顔の近くに掲げ、瞳子が何枚か写真を撮る。 「ありがとう!SNSに載せてもいい?お友達からのプレゼントって」 「ええ、大丈夫です」 「良かった!それじゃあ、次は私ね。はい、瞳子ちゃんへのプレゼント」 「わあ、ありがとうございます!」 何だろう…とワクワクしながら、瞳子は小さな細い箱を開けてみた。 「ひゃー、素敵!これって、ハーバリウムのボールペンですか?」 真っ白なボールペンの上半分は透明になっていて、中に白いかすみ草と緑の葉、赤い小さな実がオイルに浸されて入っている。 「そう、クリスマスのイメージなの。ボールペンなら実用的かなって思って」 「はい!今日から早速使わせて頂きますね。ハルさん、素敵なプレゼントをありがとうございました。大切にします」 「どういたしまして。それではいよいよ、気になるお値段発表に参りましょうか?」 「ふふっ、はい。じゃあ私からいきますね。1100円から5%引きで、1045円でした!どうですか?私の勝ち?」 「ふふーん。どうかしら?私はね…」 「うんうん」 瞳子は思わず身を乗り出す。 「定価1000円で税込み1100円」 「あっ!それなら私の勝ち?」 「…と言いたいところだけど、50円引きのチケットを使って1050円なーり!」 「えっ、ピタリ賞?!」 「そうでーす!私の勝ちね」 「えー、まさかのピタリ。ハルさん、お買い物上手!」 ワイワイ盛り上がっているうちに、あっという間に時間が経っていた。 「大変!もうスタンバイしなきゃ。それじゃあハルさん、先に行きますね」 「はーい!行ってらっしゃい。またあとでねー」 手を振るハルに瞳子も振り返してから、控え室をあとにした。
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