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「今回のプロジェクションマッピングは、パークの中央広場にある噴水に投影するんだ。だから鮮明な映像や何かを具現化したものではなくて、カラフルな色の移り変わりとか、光の動きを音楽に合わせてある」
説明しながら透がオフィスのプロジェクターで投影した映像を皆で鑑賞する。
確かに色が変化したり、光が様々な形に目まぐるしく変わっていく映像は美しいが、瞳子は、どこかアートプラネッツらしくない気がした。
洋平や吾郎も同じように感じたらしく、そんな皆の様子に、透は、心得てますとばかりに説明を始める。
「これだけだと物足りないでしょ?実は今回のショー、花火とのコラボなんだ」
「え、花火ですか?」
「そう。知ってる?ファイヤーワークマンって会社。俺達みたいに若手の5人組の会社なんだけどね。コンマ1秒単位まで音楽とシンクロさせた花火のショーを手掛けてるんだ」
「あ、夏のイベントでニュースになってた気がします」
「そう。プロ野球や音楽の野外フェスなんかで取り入れられて、一気に注目を集めたんだ。今回依頼されたテーマパークも、最初はうちだけしか考えてなかったけど、最近になって彼らとうちをコラボでやったらどうかって考えたみたい。こっちが断ることも出来るけど、俺はやってみたいんだよね、このコラボ。どう?引き受けてもいい?」
透が皆を見渡す。
「ああ、いいんじゃないか?新たな試みだな」
「うん。どんな化学反応が起こるか見てみたいし」
「ほんと?良かった。大河はどう?」
最後に皆が大河を振り返る。
大河も大きく頷いてみせた。
「透に任せたんだ。透のやりたいようにやればいい。楽しみにしてる」
「サンキュ!大河」
透はにっこりと嬉しそうに笑った。
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