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「やあ、アリシア。メリークリスマス!」
イベントスペースに行くと、マイクやスピーカーのセッティングをしていた透が、瞳子に気づいて笑顔を向ける。
「透さんったら。今日はクリスマスパーティーじゃないですよ?」
そう言いつつも、瞳子もメリークリスマス!と笑顔で返す。
「クリスマスパーティーか。仕事が落ち着いたらやりたいよね」
「いいですね。でも、落ち着きますか?仕事」
「うぐっ、それだな。クリスマスイブもクリスマス当日も仕事だった」
あはは!と瞳子は明るく笑う。
「でもそれもいいか。君と一緒に過ごせるからね。俺のテーマパークのショーも手伝ってくれるんだろう?アリシア」
「はい、もちろんです」
「良かった。君に最高にロマンチックなひとときをプレゼントするよ。楽しみにしててね」
透がウインクしてみせると、ガシッと後ろから吾郎が透の首に腕を回した。
「おいおい。大事な勝負の日にナンパするとは余裕だな」
「当たり前だろ?大河が仕上げた映像だ。完璧に決まってる」
そう言うと吾郎の腕を外し、じゃあ、またあとでね!アリシア、と手を挙げて軽い足取りで去っていった。
「まったくもう…。あいつすっかりアメリカンキャラが板についてきたな。透じゃなくて、トニーって呼ぼうか」
吾郎のボヤキに瞳子も思わず吹き出す。
「確かに合ってるかも!トニー」
「いや、やめよう。ますますつけ上がりそうだからな。それより瞳子ちゃん、控え室にいなくていいの?」
「その前に、ミュージアムショップの様子と、ゲストにお配りするノベルティとクッキーの確認をしたくて」
「ええー?そんな、いいのに。瞳子ちゃんは今日は司会に専念してくれれば」
「ううん、私が気になるだけなんです。ちょっとだけ見てきますね」
瞳子は吾郎と別れて、エントランスの横のショップコーナーを覗いた。
「わあ、素敵!」
雪の結晶をモチーフにした商品が、綺麗にディスプレイされている。
全て瞳子が手配した物だったが、こうして店頭に並ぶとなんだか感慨深くなる。
「このネックレス、可愛いよね。彼におねだりしてみようかな」
「私もー。代わりにこのペアのマグカップは私がプレゼントしよう」
販売員の女の子達が、商品を並べながら楽しそうに話している。
(私もあとで爆買いしちゃおう!もう、ここからここまでって、セレブ買いよ。ぐふふっ)
瞳子は思わず不気味にほくそ笑む。
次は、ノベルティとアイシングクッキーの確認に、受付のテーブルに向かった。
ここでもスタッフの女の子達が、
「可愛いねー!このクッキー」
「私も欲しいなー」
と笑顔で準備をしていた。
(うん、想像以上の出来栄え。良かった)
早くゲストの反応が見たいなと、瞳子はウキウキしながら控え室へと歩き始めた。
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