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「ねえ、アリシア。明日の仕事が終わったら、オフィスでクリスマスパーティーしないかい?」
大河は右手でハンドルを握りながら、左肘で後部座席から身を乗り出してきた透をグイッと押し返す。
「お前、なんであっちの車に乗らないんだよ?」
「だってアリシアがいないからさ。ね、アリシア。いいでしょ?前に言ってたよね、クリスマスパーティーしたいって」
えっと…と、助手席の瞳子は視線を泳がせた。
「明日の仕事が終わったら、オフィスに戻るのは夜遅くになりますよね?そこからパーティーって、皆さんお疲れじゃないですか?」
「大丈夫だよ。デリバリー頼んで、打ち上げも兼ねて盛り上がろうよ。仮眠室もあるしさ。アリシアが寝ちゃったら俺がベッドまで運んであげるからね」
「バカ!何が運んであげるだよ」
と大河が突っ込むが、透は気にも留めずにまた瞳子の方に身を乗り出す。
「ね?いいでしょ、アリシア。俺、クリスマスショーの制作頑張ったから、ご褒美にさ」
「えっと、はい。そうですね」
何がご褒美だよ、という大河は無視して、透は瞳子の返事に大喜びする。
「やったー!決まりね。早速デリバリーの手配しよっと」
「おい、透!その前に今夜の仕事、ちゃんとしろよ?」
「分かってるって。任せなさーい」
「任せたのはパーティーのデリバリーじゃないからな!」
もはやそれには答えず、透はスマートフォンをせわしなく操作していた。
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