悲しい告白

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やがてパークに渋い男性の声でアナウンスが流れ、ショーの始まりを告げる。 客席のざわめきが消え、人々は止まったままの噴水に注目した。 透のカウントダウンがインカムから聞こえてきた。 『5秒前。4、3、2…スタート』 フッとパークの照明が消えて、辺りが真っ暗になった次の瞬間。 サーッと勢い良く噴水が上がり、それをスクリーンにして光が飛び交う映像が流れ始めた。 ダイナミックな音楽と輝く映像に、うわー!と客席にも笑顔が広がる。 そして溜めていたエネルギーが放たれるように、音楽と光が一気にパッと開放されたと思った刹那、空が急に明るくなった。 「わー、花火!」 人々が歓声を上げて空を見上げる。 赤や緑、そしてゴールドの花火が、まるで音楽に合わせて踊るかのように次々と花開いた。 (ひゃー、素敵!何これ!水と光と花火のコラボレーション。とっても綺麗) 瞳子は興奮しながらうっとりとショーに見とれる。 一気にたたみ掛けてから、音楽は少し静かなナンバーに変わった。 それに合わせて、映像も花火もしっとりとした雰囲気になる。 ロマンチックなムードに、カップルが肩を寄せて微笑み合う。 (はあ…、いいわ。聖なる夜にぴったり) 両手を胸の前で組んで、瞳子は優しく微笑む。 やがて音楽は再び盛り上がりを見せ、映像も花火もフィナーレを華々しく飾り、クリスマスイブのショーは幕を閉じた。
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