6164人が本棚に入れています
本棚に追加
「やーれやれ。ちょこまかうるさいのが静かになったと思ったら、酔いつぶれてんのな」
赤い顔でテーブルに突っ伏している透を見ながら、吾郎が呆れる。
「よほど楽しかったんだろう。最近ずっと俺ら4人で顔つき合わせて、カリカリしてたからな」
洋平が大人の余裕を漂わせながらそう言い、またワインを口にする。
「皆さんお忙しいのに、今夜は本当にありがとうございました」
改めて頭を下げる瞳子に、洋平と吾郎は優しく微笑んだ。
「こちらこそ。瞳子ちゃんに久しぶりに会えて嬉しかったよ」
「ああ。元気そうで良かった。またいつでも遊びに来てくれ」
はい!と瞳子も笑顔で頷く。
「そろそろ帰った方がいい。送っていく」
大河が車のキーを手に立ち上がった。
「あれ、お前飲んでなかったんだ?」
「ああ」
「へえ。ずーっと黙ってるから、てっきり一人酒でも楽しんでるのかと思ってたのに」
洋平の言葉をかわし、大河は瞳子をドアへと促す。
「それではここで。洋平さん、吾郎さん、今夜はありがとうございました。おやすみなさい」
「おやすみ、瞳子ちゃん」
「またな!」
瞳子はにっこりと笑顔を残してオフィスをあとにした。
最初のコメントを投稿しよう!