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「少しずつ、少しずつでいいから、俺と過ごす時間を増やして欲しいんだ」
え?と、瞳子は首を傾げる。
「ただそれだけでいいんだ。何も考えずに、俺と一緒に時間を過ごして欲しい」
「それは、公園に行きたいから?」
「いや、公園が目的じゃなくて。つまり、俺と友達になって欲しいというか…」
瞳子はますます目を丸くする。
「と、友達?!大河さん、お友達が欲しいんですか?」
「いやだから、そうじゃなくて…」
煮え切らない言葉に瞳子が眉を寄せて困惑すると、大河は思い切ったように口を開いた。
「君の傷を癒やしたい。君が今まで傷ついた分、俺が時間をかけてゆっくりと治すから。そして君をそばで守りたい。もう二度と傷つかせたくない。いつも笑顔でいて欲しいんだ。だから…、ただそばにいさせて欲しい」
瞳子は思わず息を呑む。
真剣な大河の眼差しから、目を逸らすことすら出来ない。
「俺は君を傷つけないと誓う。君の嫌がることや、恐怖を感じることは決してしない。約束する。俺を信じて、そばにいてくれないか?」
瞳子は大河の言葉の意味を懸命に考えた。
「それは…、私が大河さんとおつき合いするということですか?」
「いや、つき合うとかじゃない。ただ、そうだな…。よく一緒に遊ぶ友達みたいな関係かな?」
「え、でも。大河さんは既に私の仲の良いお友達ですよね?」
「ああ、そうなのか。それなら、うーん。友達以上、恋人未満ってやつかな?」
「それってつまり、どういう関係なんですか?よく少女漫画に出てくるセリフですけど、いまいち意味が分からなくて」
「そう言われると、そうだな…」
大河は困ったように眉を下げる。
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