揺れ動く気持ち

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揺れ動く気持ち

「おはよー。えっ、大河!なんか埋もれてないか?」 翌日。 オフィスに出社した洋平は、既にデスクに向かって作業している大河を見て驚く。 デスクには所狭しと資料が山積みになり、今にも雪崩落ちそうになっている。 「大河、おい、大河?」 「わっ!なんだよ、洋平。声くらいかけろよ」 「かけたわ!」 どうやら没頭するあまり、何も聞こえていなかったらしい。 洋平は呆れながら、デスクに積まれた資料に目をやる。 「なんだ?これ。曼荼羅か。切り絵と、あとはなんだ?」 聞いてみるが、大河は答えない。 「やれやれ、またゾーンに入ったな。こりゃ、当分こちらの世界には帰って来ないだろうな」 行ってらっしゃーい、ごゆっくり、と声をかけてから、洋平は自分のデスクに向かった。
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