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リハビリの終わり
「大河ー、大河?おい、大河ー!!」
「うわっ!うるさいっつーの!急に耳元で、でっかい声出すなよ」
「急じゃないし。なんなら、大河の方が声でかいし」
オフィスでいつものように始まった透と大河のやり取りに、洋平と吾郎は顔を見合わせて肩をすくめる。
こういう時は極力関わらない方がいい。
「だいたいさ、なんでアリシアへのお土産、勝手に一人で渡しに行ったのさ?俺はアリシアをここに呼んで、楽しくおしゃべりしながら渡したかったのに!」
「お前の場合、ただ単にここに呼びたいだけだろ?お土産でおびき寄せるようなことするな」
「分かったよ。だったら普通に呼び寄せるもんね」
そう言うと透は早速スマートフォンを取り出し、電話をかけ始めた。
「おい、こら!相手の都合も考えずに電話をかけるな。仕事中かもしれないだろ?」
「うるさいなー、大河は。…あ、もしもしアリシア?俺だよ。久しぶりだね、元気だったかい?」
透は途端にデレーッと締まりのない顔になる。
「俺も元気だよ。でも君に会えなくて心が冷え切ってる。早く会いたいよ。いつなら会える?」
おい、こら!勝手に彼氏ヅラするな!と大河が止めるが、洋平はそんな大河の肩に手を置いて首を振った。
「いいじゃないか、誘ってみようよ。凱旋公演のMC、瞳子ちゃんに打診したいしさ」
すると吾郎もあとに続く。
「そうだよ。それにショップで販売するグッズも、また瞳子ちゃんに考えてもらいたいし。1度ミーティング兼ねて来てもらおうぜ」
それを言われれば仕方ない。
大河は頷いて、透の電話を黙って見守った。
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