リハビリの終わり

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「えっ?!洋平、彼女出来たの?いつの間に?」 デリバリーのランチをオフィスで囲みながら、突然の洋平の爆弾発言に、透が手を止めて聞き返す。 「そんなに驚くことか?」 「いや、そりゃ洋平はモテるけど、最近はずっとフリーだったじゃないか」 「うん、忙しくて手一杯だったからな。パリから帰ってきて、ようやくひと息つけると思って、帰国した翌日に馴染みのバーに行ったんだ。そこで時々会う女性に、どう?つき合ってみる?って聞かれて、まあ今ならいいかって」 「ひゃー、大人!なんか大人の世界だな。俺も言ってみたいわ。『どう?アリシア。俺とつき合ってみる?』って」 吾郎が「今言ってんじゃないかよ」と突っ込み、瞳子も面白そうに、あはは!と笑う。 「洋平さんなら、そんな出逢いが似合いそう。馴染みのバーって、どんなところなんですか?」 「ん?ここからも近いよ。オフィスビルの最上階にあってね。Bar. Aqua Blueっていうんだけど、看板とか出してないから、知る人ぞ知るって感じかな。夜景も綺麗でピアノの生演奏もやってるから、気分転換や頭の中をリセットしたい時によく行くんだ」 へえー、と瞳子はしきりに感心する。 「素敵なところなんでしょうね。行ってみたいなあ」 「瞳子ちゃんも好きそうなところだよ。行ってみたら?」 ええ、でも…と瞳子は視線を落とす。 (きっと誰かに絡まれたりするのが心配なんだろうな) 大河がそう思っていると、瞳子はパッと顔を上げて、機会があったら行ってみます、とにこやかに笑った。
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