6162人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちょっと!誰がお酒に強いって?」
大河はふらつく瞳子を支えながら店を出る。
酔わないです、と断言したのが別人のように、瞳子はいつの間にかへべれけになっていた。
「だって、今夜は大河さんいるからさー。安心しちゃってさー。いっぱい飲んじゃったさ。お酒も美味しいし、雰囲気もいいし。最高だったさー」
「どこの地方のなまりだよ?」
「東京さー」
「嘘つけ!」
大河は瞳子の肩を抱いて1階まで下りると、タクシーで瞳子のマンションへと向かう。
「大河さん、サイレン鳴らして爆走すれば?刑事だもんね」
「あ、そうなの?」
運転手が瞳子の言葉に反応し、違います!と大河は慌てて否定する。
「尾行してくる車、まくのが上手いもんね。さすがさー」
「えっ、尾行されてる?」
だから違います!と、またもや大河は声を張る。
早く着いてくれーと心の中で願い、ようやく瞳子のマンションまで来ると、そそくさと会計を済ませて降りた。
最初のコメントを投稿しよう!