6162人が本棚に入れています
本棚に追加
「ではでは、お疲れ様でした!大盛況を祝して」
「かんぱーい!」
最終日の夜、オフィスでささやかな打ち上げをする。
「瞳子ちゃん、今回もありがとう!着物姿がめちゃくちゃ美しかったよ。華があって、外国人ゲストからも大人気だったな」
吾郎の言葉に、透と洋平も大きく頷く。
「アリシアのおかげで、俺達の映像も一気に格が上がるしね」
「それにまた色んな国の人から声をかけられたぞ。ひと息つく暇もなく、ワールドツアーになるかもしれん」
わあ!と瞳子は口元に手をやって喜ぶ。
「世界中にアートプラネッツの映像が届くなんて、素敵ですね!イタリアの次はどこになるんですか?」
「んー、一つ一つ具体的に話を聞いてから、スケジュールを組んでいくことになるかな」
「また忙しくなりますね。皆さん、体調には充分気をつけてくださいね」
「ありがとう!」
すると、瞳子と洋平のやり取りを聞いていた透が、おもむろに尋ねた。
「あのさ。しばらくは公演に集中しなきゃと思って、敢えて聞かなかったんだけど…。ちょっと様子が気になってたんだ。なんか俺達に報告することない?」
瞳子が内心ギクリとしていると、洋平が顔をしかめて口を開く。
「あー、そうなんだよ。俺、結婚することにした」
…は?と、瞳子は思わず固まってしまう。
「け、結婚?!」
皆も一瞬固まった後、一斉に声を上げて驚いた。
「洋平が、結婚?」
「誰よりも一番興味なさそうだったのに?」
「お前、いつの間に?」
3人は矢継ぎ早に問い詰める。
「またそんなに驚く…。前に話しただろ?彼女出来たって。そしたら次は結婚の報告でも、別に不思議はないだろ?」
「いや、普通ならそうだけど。あの洋平だぞ?告白されたから、まあつき合うか、みたいなスタンスで、今までずっとクールなキャラだったじゃないか」
「ま、そんな俺が本気で惚れた相手だからな。逃したくなくてさ」
それを聞いて瞳子が、素敵!とうっとりする。
「洋平さんを初めて本気にさせた女性なんですね?素敵な方なんだろうなあ。それに洋平さんも、逃したくないって、すごくかっこいいです。洋平さん、ご結婚おめでとうございます!」
「ありがとう、瞳子ちゃん」
笑顔で礼を言う洋平に、3人もようやく実感が湧いてくる。
「おめでとう!洋平。まさかお前が一番乗りとはな」
「それだけの相手を見つけられたってことだもんな。おめでとう!幸せにな」
「近いうちに奥さん紹介してね。盛大にお祝いするからさ。洋平、本当におめでとう!」
皆が肩に手を置いて祝福すると、洋平は破顔して頷く。
最初のコメントを投稿しよう!