旅行

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『瞳子?今、大丈夫?』 事務所の昼休みにお弁当を食べていた瞳子は、大河からの電話に一気に顔をほころばせる。 「大河さん!はい、大丈夫です」 『夕べ連絡出来なくてごめん。変わりない?』 「うん。大河さんに会えなくて寂しいけど、元気にしてます」 『そうか、俺も。瞳子が恋しいけど、いじけずに仕事してる』 「いじけずにって、あはは!いじける大河さん、見てみたい」 『なんだと?瞳子に少しでも冷たくされたら、すぐにいじけるんだからな?』 「あはは!大河さんったら、可愛い!」 『男に可愛いとか言うな!』 瞳子は笑いが止まらなくなる。 会えない寂しさは、一瞬でどこかに消えていた。 『瞳子、イタリアから帰国したら3日間オフにしたんだ。瞳子も休み取れる?どこか旅行に行かないか?』 「え、行きたい!いいの?」 『ああ、もちろん。2泊3日だから、国内になるけど』 「うん、行く!大河さんとならどこにでも行きたい!でもイタリアから帰ってすぐなんて、疲れないですか?」 『瞳子に会いたい気持ちに勝るものはないよ』 瞳子は一気に顔が赤くなる。 「う、うん。私も。千秋さんにお休みもらえるように頼んでみますね」 すると後ろから、どうぞー、行ってらっしゃーいと千秋の声がした。 「ち、千秋さん?あ、しまった!ここ事務所だった」 やれやれ、今頃思い出したの?と、千秋が呆れている。 「ごめんなさい!すぐ切りますから」 いいのよー、ごゆっくり、と千秋が席を外す。 『瞳子?大丈夫?』 「うん、大丈夫。私ったら、事務所にいること忘れてて…」 『ははっ、そうなんだ。それで?千秋さん、休み取ってもいいって?』 「そうなの。行ってらっしゃいって」 『良かった。じゃあ、早速どこに行きたいか考えておいて。決まったら色々手配するから』 「分かりました。あー、楽しみ!」 『俺もだ。じゃあな、瞳子』 「はい。お仕事頑張ってくださいね」 『ありがとう、瞳子もね』 電話を切った後、早速瞳子はワクワクと旅行先を考え始めた。
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