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(ふう、ビールでも飲むか)
同じ頃。
隣の部屋でシャワーを浴びた大河は、冷蔵庫からビールを取り出して窓際のソファに座った。
綺麗な夜景を見ながら、瞳子と一緒にもっとゆっくり眺めたかったな、と思う。
だが、それはあまりにも危険だ。
こんなにもロマンチックなシチュエーションで、あの瞳子と二人切りになったら…。
大きなベッドがある部屋で、風呂上がりの瞳子を目の当たりにしたら…。
平常心でいられる自信など微塵もなかった。
(過去のトラウマを抱えた瞳子を、大切にしたい。恐怖心を取り除けるよう、少しずつ少しずつ慣れていって欲しい)
そう思っているが、自分は瞳子に対して少しで済むのかと問うと、即座に首を振る。
あんなにも魅力的な瞳子に少し触れるだけで、一気に己の身体は燃え上がってしまうだろう。
それなら少しでも触れない方がいい。
All or Nothingだ。
大河は自分に頷くと、考えを振り切るように一気にビールを煽った。
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