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「大河さん?大丈夫?」
ガックリと肩を落としたままの大河の顔を、瞳子はそっと覗き込む。
「そうだよな。こんな可愛い娘を、どこの馬の骨とも分からない俺に嫁がせるなんて。やっぱりお父さんに反対されるかな」
自信なさげに呟く大河に、んー、と瞳子は言葉を選ぶ。
「もし反対されたら?大河さん、諦めるの?」
「まさか!何があっても瞳子と結婚する。お父さんに引っぱたかれても、どんなに反対されても、絶対に説得してみせる」
「うん!ありがとう、大河さん」
瞳子は顔を輝かせて幸せそうに微笑む。
可愛い…と思わず頬を緩める大河に、瞳子は笑顔で続ける。
「大河さんなら絶対に大丈夫。私が好きになった人だもん。うちの家族みんな、大河さんに感謝すると思います」
「瞳子…、ありがとう。必ず認めてもらうように頑張る」
「はい。私も大河さんのご家族に認めて頂けるように、頑張らなくちゃ!」
「心配するな。認めるも何も、瞳子以上の女性なんてこの世にいない」
「ぶっ!大河さんたら…。恥ずかしいから真顔でそんな変なこと言わないでください」
「どこが変なんだ?事実を述べたまでだ」
はいはい、と瞳子は軽く流して歩き出す。
「こら!俺から離れるなってば」
「もう…、私は3歳児じゃありません!」
「こんなに魅力的な3歳児がどこにいる?」
「だから!恥ずかしいこと言わないでってば!」
言い合いながら肩を寄せ合って歩く二人に、吾郎と透は両手を広げて苦笑いする。
「まったく…。仲がいいのか悪いのか」
「夫婦喧嘩は犬も食わないってやつだね」
「そうだな。尻尾フリフリの透ちゃんでもな」
「おい、俺は子犬じゃないってば」
吾郎をジロリと睨んでから、透はまた二人に目をやる。
「最強で最高のカップルだね」
「ああ、そうだな。よし!俺達も幸せ見つけようぜ、透」
「あ、俺、見つけようと思えばすぐ見つかるから」
「なにー?!お前、俺が慰めてやったのに、出し抜くのか?」
「そうだよー。頑張ってね、吾郎」
「くーっ、透!俺だって負けないからな!」
「はいはい」
ポカポカと暖かい陽気に、心地良いそよ風が吹く。
幸せそうな洋平夫婦と、賑やかに言い合う大河と瞳子、吾郎と透。
信頼出来る仲間達の輝く笑顔。
それぞれの未来を祝福するかのように、明るい陽射しが皆をキラキラと照らし続けていた。
(完)
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