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刑事の登場
「瞳子さん、瞳子さん?瞳子さーん!」
「わっ!びっくりしたー。何?亜由美ちゃん」
「何じゃないですよ。魂、どこに行っちゃってたんですか?」
「えっと、ちょっとそこまで」
「嘘ですよ。宇宙の彼方に行ってましたよね?」
「無事に地球に帰って来ました」
あはは!と亜由美は明るく笑う。
「それなら良かったです。ね、瞳子さん。今度私とデートしてくれません?」
「あれ?亜由美ちゃん、彼氏はどうしたの?」
すると途端に亜由美は目をウルウルさせながら、瞳子にガバッと抱きついてきた。
「別れちゃったんですー!だから瞳子さんに話聞いて欲しくて。ね?私とデートしてくださーい!」
「わ、分かった。分かったから、亜由美ちゃん、ちょっと手を緩めて。首が締まる…うぐっ」
「あ、ごめんなさーい」
ケロッとして亜由美は瞳子から手を離す。
「じゃあ、今度休みが合う時に行きましょ!場所はどこがいいかなー」
人差し指を口元に当てて宙を見ながら考え始めた亜由美に、千秋がデスクから声をかける。
「亜由美、早く業務報告入力してね。あ、オススメのレストラン情報じゃないわよ?」
「はーい、分かってますって」
ウキウキとパソコンに向かいながら、亜由美はまた瞳子に話しかけてきた。
「瞳子さん、横浜のみなとみらいにしませんか?桜並木が綺麗に見えるレストランがあるの、思い出したんです」
「こーらー、亜由美!ほんとに業務報告書いてるの?」
「書いてますよー。私、手と口は別のこと出来るんです」
「どうだか」
千秋は呆れたように腕を組んでため息をつく。
そんな二人のやり取りにクスッと笑ってから、瞳子も自分の仕事に集中した。
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