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ハリウッドスターカップル
「はい、コーヒー」
「ありがとうございます」
オフィスに入ってコーヒーを淹れると、大河は瞳子の向かい側のソファに座った。
「それで?あの週刊誌の記者は、君に何の用だったの?どんな記事を書かれたの?」
「あ、あの。それは…」
瞳子はうつむいて言葉に詰まる。
(どう説明すればいいのだろう。先輩とのことを話さなきゃいけない?それって私の気持ちも?)
考えあぐねていると、大河が小さく息を吐く気配がした。
「ま、週刊誌の記事だもんな。あることないこと、いや、ないことないこと書かれて、気持ちいいもんではないだろうってことくらい想像つく」
「あ、はい」
「けど、今後またあいつに追い回される可能性はないの?」
「えっと、ある…かもしれません」
あの記者は、イケメンアナの倉木 友也のゴシップを狙っている。
明日発売される記事がどんなものかにもよるが、先程の様子では、追加でまた酷い内容の記事を書くつもりなのだろう。
それなら、また自分が一人になった時に接触されるかもしれない。
瞳子は思わず身震いして両腕をギュッと握りしめた。
「んー、どうしたもんかなあ」
大河は頭の後ろで両手を組み、宙を仰ぎながら呟く。
「刑事としては詳しく取り調べをしたいけど、君にも黙秘権があるしね」
「はい」
(って、大河さんまだ刑事気分なんだ)
「ここはやっぱり、君の安全を守るのが警察の務めだろうな」
「すみません、お手数をおかけしまして」
「いや、公務員の義務だから、気にしないで」
「ありがとうございます」
「じゃ、今日のところはひとまず自宅まで送るよ。何かあったらいつでも連絡してきて。あ、俺の連絡先教えとくよ」
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