ハリウッドスターカップル

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そう言ってスマートフォンを取り出した大河は、画面を操作し始めた途端、ピタリと手を止めた。 「もしかして…、倉木 友也?」 えっ!と瞳子は絶句する。 (ど、どうして…?) 驚きで声が出せない。 「明日発売の週刊誌の記事として、ニューストピックスに挙がってる。ひょっとしてこの記事なの?あの男が書いたのは」 呆然とする瞳子に、大河は確信したらしい。 再び画面に目を落として画面をスクロールし、ん?と首をひねった。 「この写真。まさかうちのミュージアムじゃ…」 ハッと瞳子は息を呑む。 先程、あの記者の男に見せられた写真が載っているに違いない。 「すみません!その写真が掲載されるということは、こちらの会社にもご迷惑をおかけすることになるんですね。本当に、なんてお詫びしたらいいのか…」 「いや、そんなことは気にするな。それよりこの写真は、うちのミュージアムのプレオープンイベントの日に撮られたもので間違いない?」 「はい、そうです。夜のレセプションパーティーの時です」 「この、倉木 友也の横にいるのは、君なんだね?」 「…はい。間違いありません」 「そうか。倉木アナの熱愛発覚として、ネット上では既にかなりの反響がある」 「そんな!熱愛だなんてデタラメです!」 「え?彼は恋人じゃないの?」 「違います!」 「そうなんだ…」 大河は拍子抜けしたように呟いてから、じっと考えを巡らせ始めた。 「事実かどうかは関係なく、君の周辺は騒がしくなると思う。あのイベントの日は多くのマスコミが来ていた。この写真を見れば、写っているのは司会をしていた君だとすぐに分かるだろう。名前も所属事務所も秒速で嗅ぎつけられる。問い合わせの電話が事務所に殺到して、君は身動き取れなくなるかもしれない」 「そ、そんな…」 「ひとまず、千秋さんには知らせておいた方がいいんじゃないか?」 瞳子は頷くと、すぐさまスマートフォンを取り出して千秋の番号にかけた。
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