ハリウッドスターカップル

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『え?ちょっと待って。どういうこと?倉木 友也の記事で瞳子が騒がれるって、どうして?』 電話から千秋のいぶかしげな声がする。 瞳子はなんとか気持ちを落ち着かせながら説明した。 「事実無根ですが、倉木アナの熱愛発覚の記事に私の写真が載ります。私は彼の恋人ではありませんが、たまたまレセプションパーティーの時に二人で外に出たところを写真に撮られてしまって…」 『そうなのね、分かった。それならうちの事務所にも問い合わせがあるかもしれないわね。あ、瞳子は大丈夫なの?今どこにいるの?』 「えっと、私は今…」 すると、貸して、と言って大河が瞳子の手からスマートフォンを取り上げる。 「もしもし、アートプラネッツの冴島です。はい、そうです。夜分にすみません。実はたまたま彼女が週刊誌の記者に詰め寄られているところを見かけて、今うちのオフィスで保護しています。既に記事はネット上で掲載され、おそらく明日以降、そちらの事務所や彼女の自宅にもマスコミが来るかもしれません。しばらくは、彼女はどこかに身を隠す方がよろしいかと。…はい、そうですね。分かりました。また明日ご連絡致します。それでは」 通話を終えると、大河は瞳子にスマートフォンを返した。 「千秋さんも、君の当面の居場所を探すと言っていた。とにかく今夜はここにいて。明日、君を安全な場所まで送り届けるから」 そう言われても瞳子は頷けない。 「どうした?大丈夫か?」 「はい。あの、これ以上こちらにご迷惑をおかけする訳にはいきません。今のうちにタクシーで帰ります」 「帰るって、自宅に?朝になれば、君は一歩もそこから出られなくなるかもしれないのに?」 「たとえそうなっても、私の問題ですから。どうぞお気になさらず」 「おいおい。確かに俺は愛想は悪いが、そこまで薄情者でもないぞ。とにかくしばらくはここにいろ。俺もどこかいい場所はないか探してみるから」 そう言うとデスクに行き、パソコンを立ち上げて検索を始めた。 「んー、自宅と事務所以外でどこか安全な場所…。ホテルとか?いや、誰でも入れるか。じゃあ、ウィークリーマンションとか?セキュリティがしっかりしてるところ、あるかな?」 カタカタと入力しながら真剣に検索する大河に、瞳子はそっと頭を下げた。
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