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アリシア
「お、大河。おかえ…ええー?!」
アートプラネッツに戻った大河に一瞬目を向けた後、2度見しながら透が驚いて目を見開く。
「ちょっ、お前、ほんとに大河か?」
すると、なんだ?と洋平や吾郎も顔を上げた。
「は?!大河、なんでまたそんなゴテゴテに攻めてんの?もしや、隣の金髪美女を落とす為に?」
「お前、急に恋愛に目覚めたのか?それにしても、二人してすごいオーラだな。えーっと、そちらの美女はどちら様?」
大河はサングラスを外し、ニヤリと瞳子に笑いかける。
「アリシア、自己紹介したら?」
瞳子は、むーっ!と唇を尖らせた。
「からかわないでください、大河さん」
ええー?!と、またもや3人が声を上げる。
「日本人?え、待って。この声、どこかで聞いたような…」
瞳子はサングラスを外してお辞儀する。
「瞳子です。皆様、お騒がせして申し訳ありません」
「と、瞳子ちゃん?!ほんとに?」
「はい。あの、今回は私のせいで皆様に多大なご迷惑をおかけして、本当に申し訳ありません」
「いや、待って。ビジュアルがすご過ぎて、話が頭に入って来ない」
3人はポカンとしながら、瞳子を遠巻きに眺める。
「ほんとにあの瞳子ちゃん?えっと、目のやり場に困るんだけど…」
「あ、すみません。すぐに着替えてきます。お部屋をお借りしてもいいですか?」
すると大河が、こっちだ、と隣の部屋に案内した。
「この部屋を自由に使ってくれ。トイレとバスルームはここ。冷蔵庫とレンジはオフィスにあるから」
「ありがとうございます。でもよろしいのでしょうか。このお部屋は皆さんお使いにならないのですか?」
「ああ。仕事が立て込んで、徹夜続きになる時に仮眠室として使うけど、今は忙しくないから誰も使ってない。だから気兼ねなく使って」
「そうですか。本当にありがとうございます」
大河が頷いて出て行くと、瞳子は千秋が持たせてくれた着替えが入ったバッグを開けた。
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