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デリバリーのランチを皆で楽しみ、午後の仕事に取り掛かろうとして、ふと大河は瞳子の様子に気づいた。
(なんだかまぶたが重そうだな。あ、そうか。夕べ寝てないのか)
昨夜、自分はデスクに突っ伏していつの間にか眠ってしまっていたが、瞳子はそっとここを抜け出していた。
恐らく一睡もしていないのだろう。
「しばらく隣の部屋で休んでこい」
ぶっきらぼうに声をかけると、瞳子は、でも…とためらう。
「いいから。特にやってもらう仕事もないしな。なんだったら、バスルームの掃除でもしてくれるとありがたい」
そう言うと瞳子は、分かりましたと素直に部屋に向かった。
ついでにシャワーも浴びれるだろう。
その後少し眠ってくれればいいが。
そして瞳子がいなくなったオフィスのソファに、4人は真剣な表情で集まった。
「週刊誌の反響はどうだ?」
大河が小さく切り出す。
「呼び出し音をサイレントにしてあるが、電話がひっきりなしにかかってくる。留守電設定にして、ご用の方は携帯番号におかけくださいと入れてある。取り引き先の人なら、俺達の仕事スマホの番号は知ってるはずだからな」
洋平がそう言うと皆も頷いた。
「あと、ミュージアムにも問い合わせの電話が多いらしい。そっちは留守電にする訳にはいかないから、これから俺が音声案内をセッティングしてくるよ。対応し切れない質問は、俺のスマホに転送するように設定する」
「ああ、すまないな洋平」
「大丈夫だ。それに現地スタッフの話だと、倉木アナ効果でミュージアムの来場者も一気に増えてるらしいぜ?なんでも『あの二人が座ったベンチ』とか言って、外のベンチがフォトスポットになってるらしい」
すると透がおかしそうに笑う。
「あはは!そんなことになってるんだ。面白いね」
「まあな。人の噂も75日って言うし、俺達には大きな影響はないだろう。だけど瞳子ちゃんは大変だな」
「ああ」
しばし4人は黙り込む。
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