6170人が本棚に入れています
本棚に追加
/195ページ
思わず瞳子は口元に手をやって息を呑む。
彼が今どんな気持ちでいるのか、どれ程苦しんでいるのか、想像するだけで胸が痛んだ。
だが、その下のコメントに目を落とした途端、瞳子は凍りつく。
『おいおい、この場をお借りして彼女へDMですか?』
『なにこれ、ラブラブなメッセージ見せつけられてる感じ?』
『世界の中心で愛を叫んじゃってるよww』
『あーあ、初動まちがえましたな。こんな女、知らねーよ!って書けばよかったのに』
次々と書き込まれるコメントに呆然としていると、大河がスッと画面を閉じた。
「酷いもんだな。インターネットは世の中を便利にしたが、こんな恐ろしい事態も招いた。コンピュータは何も悪くないが、人間の醜さで悪用される。誹謗中傷は立派な犯罪だと俺は思う」
静かにそう言うと、労るように瞳子の顔を覗き込む。
「もう少しの辛抱だ。そのうちきっと静かな日常が戻ってくる。それまではここにいろ。必ず俺達が君を守るから」
瞳子の目に涙が溢れる。
堪えようとしても、次々と溢れてポタポタとこぼれ落ちた。
大河はふっと笑みを洩らして、瞳子の頭をクシャッとなでる。
「泣くなよ、アリシア。透のバカ話で毎日笑っていればいいさ」
瞳子は思わず泣きながら笑ってしまう。
「俺達といると、嫌でも面白くなる。笑わないなんて無理だ。覚悟しとけよ?」
ニヤリと瞳を覗き込まれて、瞳子は笑顔で頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!