明けない夜はない

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思わず瞳子は口元に手をやって息を呑む。 彼が今どんな気持ちでいるのか、どれ程苦しんでいるのか、想像するだけで胸が痛んだ。 だが、その下のコメントに目を落とした途端、瞳子は凍りつく。 『おいおい、この場をお借りして彼女へDMですか?』 『なにこれ、ラブラブなメッセージ見せつけられてる感じ?』 『世界の中心で愛を叫んじゃってるよww』 『あーあ、初動まちがえましたな。こんな女、知らねーよ!って書けばよかったのに』 次々と書き込まれるコメントに呆然としていると、大河がスッと画面を閉じた。 「酷いもんだな。インターネットは世の中を便利にしたが、こんな恐ろしい事態も招いた。コンピュータは何も悪くないが、人間の醜さで悪用される。誹謗中傷は立派な犯罪だと俺は思う」 静かにそう言うと、労るように瞳子の顔を覗き込む。 「もう少しの辛抱だ。そのうちきっと静かな日常が戻ってくる。それまではここにいろ。必ず俺達が君を守るから」 瞳子の目に涙が溢れる。 堪えようとしても、次々と溢れてポタポタとこぼれ落ちた。 大河はふっと笑みを洩らして、瞳子の頭をクシャッとなでる。 「泣くなよ、アリシア。透のバカ話で毎日笑っていればいいさ」 瞳子は思わず泣きながら笑ってしまう。 「俺達といると、嫌でも面白くなる。笑わないなんて無理だ。覚悟しとけよ?」 ニヤリと瞳を覗き込まれて、瞳子は笑顔で頷いた。
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