救われた心

5/5

6170人が本棚に入れています
本棚に追加
/195ページ
「ここで大丈夫です。ありがとうございました」 やがて瞳子の新居に到着すると、大河は路肩に車を止めて運転席から降りる。 助手席のドアを開けて瞳子に手を貸そうとした瞬間、ハッと思い出して後ずさった。 瞳子は一人で車を降りると大河と向かい合い、両手を揃えて頭を下げた。 「大河さん、今夜は本当にありがとうございました」 「こちらこそ。会えて良かった」 思わず本音を洩らしてしまい、マズイ…と顔をしかめる。 瞳子は一瞬だけ驚いたような表情を見せた後、嬉しそうににっこり微笑んだ。 「はい、私も会えて嬉しかったです。皆さんにもよろしくお伝えくださいね」 「ああ、分かった」 「それでは、ここで。おやすみなさい」 「おやすみ」 瞳子はもう一度にこっと笑顔を見せてから、マンションのエントランスへ入って行く。 大河は瞳子の姿が見えなくなるまで見送った。
/195ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6170人が本棚に入れています
本棚に追加