6169人が本棚に入れています
本棚に追加
/195ページ
「間宮さん!お久しぶり」
「お久しぶりです、谷崎さん。この度はご依頼頂き、本当にありがとうございます」
「こちらこそ。引き受けてくれてありがとう!」
パーティー当日。
準備の為に早めに訪れた貸し切りのレストランで、瞳子は谷崎と手を取り合って再会を喜ぶ。
久しぶりに見る谷崎は相変わらず明るく、ドレスアップした姿は、テレビに映らないのがもったいない程美しかった。
「ねえ、クリスマスにまたホーラ・ウォッチが新作モデルを出すでしょ?その時のイベントでも会えるかしら?」
屈託のない笑顔で聞かれ、瞳子は少し戸惑う。
「どうでしょう?先方が別の人に依頼するかもしれませんし…」
それにあの時の自分の写真が一般人のSNSで拡散され、倉木 友也の相手として騒がれたことを考えると、控えた方がいい気がした。
視線を落として思案していると、谷崎が真剣に話しかけてきた。
「間宮さん、今はもう状況は落ち着いた?」
「え?あ、はい。お陰様で元の生活に戻っています。ただ、表立って司会の仕事はまだ出来ませんが」
「そう。あのね、私、去年TVジャパンのドラマの主演に決まった時、倉木さんにインタビューしてもらったの」
「あ、そうですか…」
突然の話題に、瞳子は面食らう。
「私、初主演で緊張してたし、なんて答えたらいいのか分からなくておどおどしてたら、倉木さん、私を気遣ってとっても真摯に丁寧にインタビューしてくれて。優しい人だな、思いやりが滲み出てるなって思ったの。だから今回の騒動、私もすごく胸が苦しくてね。倉木さんも間宮さんも、こんなふうに言われる筋合いなんてない!お二人のこと何も知らないで勝手なこと言わないで!って、一人で憤慨してたの」
「谷崎さん…」
自分の知らないところで、そんなふうに思ってくれていたなんて…と、瞳子は胸が熱くなった。
「今日、間宮さんの元気そうな姿が見られて良かった!」
(ひょっとしてその為に、今回の司会を依頼してくれたのかしら?だとしたら、谷崎さんこそ優しくて思いやりに溢れる人だわ)
瞳子は谷崎に感謝して、今日の司会も精いっぱい努めようと思った。
最初のコメントを投稿しよう!