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谷崎と簡単な打ち合わせをしていると、続々とゲストが到着し始めた。
皆、テレビでよく見る女優やモデル、タレントばかりで、あまりの華やかさに瞳子は気後れしそうになる。
そして最後に、何も知らされていなかった60代の女性社長が現れた。
「え、何?みんなどうしてここに?ハル、今夜は私と食事する約束じゃなかった?」
「ふふふ、社長!今夜はみんなが社長のお誕生日をお祝いしたくて集まったんです。ほら、座ってください」
谷崎に促されて、本日の主役の社長が花で飾られた前方のテーブルに着く。
いよいよパーティーの始まりだ。
谷崎が瞳子に目配せし、頷いた瞳子はマイクを握りしめた。
「皆様、本日は鎌田社長のお誕生日パーティーにようこそ!早速ですが、乾杯のグラスはお手元に届きましたでしょうか?」
はーい!とあちこちから返事が返ってくる。
「それでは谷崎 ハルさん。乾杯の音頭をお願い致します」
谷崎は社長の近くに歩み出る。
「えー、社長!いつも私達を時には厳しく、時には…厳しく、励ましてくださってありがとうございます」
「何よそれー?いっつも厳しいみたいじゃない」
社長が不服そうに言うが、あはは!事実でーすと、周りからも声が上がった。
「とにかく!いつも私達を見守ってくださって、本当にありがとうございます。今夜は日頃の感謝を込めて、みーんなで社長をお祝いしたいと思います。社長、お誕生日おめでとうございます!」
おめでとうございまーす!と皆で声を揃えてグラスを掲げる。
「ありがとう!みんな。これからもビシバシ鍛えていくわよ」
「お手柔らかにお願いしまーす」
食事を食べながら、ゲストが順番にお祝いのスピーチをしていく。
また、今夜は仕事で来られなかった人や関係者からのビデオレターも上映された。
社長はさすが大手プロモーション会社を経営しているだけあり、エネルギッシュで豪快によく笑う。
パーティーの雰囲気も和気あいあいとしており、瞳子も久しぶりの司会を楽しく終えられた。
無事にお開きとなり、帰り支度をする社長に瞳子も挨拶する。
「鎌田社長、本日はありがとうございました。僭越ながら、わたくしからもお祝い申し上げます。お誕生日おめでとうございます」
「あら、ありがとう!あなたの司会ぶり、良かったわよ。それにとびきりの美人ね。うちに所属して、芸能活動もやってみない?」
「いえいえ!そんな。わたくしなど滅相もない」
「そう?あなたなら売れるわよ。気が向いたら連絡してね」
ポンポンと瞳子の肩を叩いてから、社長は会場をあとにした。
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