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「そうですか。記憶が完全に戻りましたか……」
竹村整形外科医はカルテを見ながら、そう呟いた。
「ですがあまり良い記憶ではなくて……」
安宅 美奈は悲しそうに竹村整形外科医にそう告げた。
「そのお話しは伺っています。そうですね。精神科医とも連携しましょう。もうすぐ私の仕事も終わるので、その時に真桜ちゃんと話してみます。だいぶ私と真桜ちゃんは仲良くなっていたので」
「はい。よろしくお願いします」
「それと君たち。私が良いと言うまでは、面会を遠慮してほしい。どうやら真桜ちゃんのメンタルが悪いようだから」
「そんな……」
美桜と圭太は互いに顔を見合わせて竹村整形外科医に何故?と言わんばかりに竹村整形外科医の顔を見た。
「思い出してみてほしい。真桜ちゃんがどうしてこんなことになったのかを。悪いが君たちの顔を見ると今の真桜ちゃんは潰れてしまうと私は思う。精神的治療も必要になってくるだろう。真桜ちゃんが元気に退院する為に……ね?」
「そっか……」
「ごめんね?美桜、圭太くん。私は付き添っているから。このまま帰ってくれる?まだ竹村先生と話し合わないといけないから」
「お母さん、わかった。真桜のこと、よろしくね?」
美桜は竹村整形外科医に頭を下げると圭太を連れて診察室から出た。
「圭太くん。真桜、大丈夫かな?」
「大丈夫だよ。真桜は強いから……」
圭太は心做しか不安気にそう美桜の頭を撫でると、真桜の病室に目をやり口パクで、頑張れよ……と呟いた。
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