7人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
真桜は安宅 美奈が何度も語りかけても、うんともすんとも言わず、なにかを考え続けていた。
____私、ブスなんだ____
職員室での出来事が真桜の頭をよぎってはかえりよぎってはかえり……としている。
____皆んな私のことをブスだと思ってバカにしてたんだ____
そう思うと真桜は美桜に似ている自分の母親……安宅 美奈の存在が忌々しく思えてきた。
「……お母さん、出て行って!」
真桜が漸く口にした言葉に安宅 美奈は驚いた。
「どうしたの?真桜。どうしてそんなことを言うの?」
安宅 美奈は悲しそうに、そう真桜に問い掛けた。
「どいつもこいつも!!私のこと、バカにして!!!ねぇ?!お母さん。なんで私を美桜みたいな美人に産んでくれなかったの?!!!双子なのに!!!!なんで?!!!!なんでよ!!!!!」
真桜はそう叫ぶと力いっぱい安宅 美奈に向かって自分のベッドの上の枕を投げつけた。
「真桜!!!落ち着いて!!!」
安宅 美奈は空振りしたベッドの枕を広いながら真桜をなだめようとした。
「うるさいうるさいうるさい!!!出てけ!!!!」
「真桜!!!!」
病室中はおろかロビーや看護室にまで真桜の怒鳴り声が響いていた。
看護師が慌てて真桜の病室に入る。
「どうされましたか?!!!」
その看護師は美形の看護師。
真桜の怒りは沸点に達していた。
「バカヤロー!!!!皆んな出てけ出てけ!!!!」
真桜は不自由な左足を庇いながら立ち上がると松葉杖を振り回して暴れた。
病室にいた患者もその様子に怯えている。
そこへ……
竹村整形外科医……竹村先生が病室に飛び込んできた。
「真桜ちゃん。ごめんよ?」
と言うと、竹村先生は真桜のパジャマのズボンを下げ鎮静剤が入った注射器の針を真桜のお尻に打った。
程なくして真桜は竹村先生の腕の中で気を失った。
最初のコメントを投稿しよう!