7人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
桜の花弁が舞い散る、ある晴れた春の昼下がり。
巨大ビルのような硝子張りの産科の分娩室で帝王切開にて双子の女の子の赤ちゃんが産まれた。
「あら?双子なのに全然似てないわね?」
助手をしていた女性の看護師さんが首を傾げると、
「ああ……二卵生双生児だからね」
執刀医が顔色変えず、そう応えると切開した部分を縫い始めた。
「二卵生……あ!卵が二つだったのね?」
納得した看護師は双子の赤ちゃんの身体をタオルてくるむと、
「お母さん!頑張りましたね?可愛いくて元気なお子さんですよ!」
と、まだ分娩台の上にいる出産したばかりのショートヘアーの女性……双子の赤ちゃんのお母さんに対面させた。
「よかった……無事で。双子って聞いた時から不安だったけど安心しました……」
と、双子の赤ちゃんのお母さんは泣きじゃくりながら執刀医と看護師にお礼を言った。
そして二人の赤ちゃんは桜に因んだ名前を……と、真桜と美桜と名付けられ、すくすくと育っていった。
最初のコメントを投稿しよう!