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「その場合には、みなさんには空き部屋に泊まってもらいます。ひょっとしたら、スイートルームに空きがあるかも――」
「ス、スイートルーム!!」
千綺の発言に、栄尋と知柚は声に出しておどろく。
「お母さん、スイートルームってなに?」
亜佐飛は聞いた。
「料金がいちばん高い部屋のことよ」
「えっ!!」
「でも、僕は会社員だから、十七日からまた仕事がはじまるんだ」
栄尋が言う。今日は八月十三日。社会人の栄尋は十六日までが仕事休みだ。それはプログラミング塾を経営している知柚としても同じであった。
「ここから勤務地まで通うとなると、家から通うより遠くて不便になるね」
「その心配はいりません。ここからお父さまの勤務地までリムジンで送迎するよう、うちのお抱え運転手に言っておきます」
「リムジン!?」
栄尋はおどろきのあまり、とんきょうな声を出す。
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