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「お父さんとお母さん、ここはお言葉に甘えていいんじゃない?」
亜佐飛が言った。ここで断ったら、北登ががっかりするのは目に見えている。亜佐飛は弟の悲しむ顔を見たくなかった。それに、このホテルを満喫することは親孝行になるとも考える。亜佐飛は自分以外の家族をよろこばせたくなった。
「私、ちょうど今年の夏休みの自由研究はなにをテーマにしようかなって、困っていたの。このホテルに長く泊まるのなら、このホテルついて研究して、一冊のノートにまとめられるなって思った」
このホテルに泊まり続けるなら、亜佐飛としてもメリットがある。ホテルについて調べるのに、二泊三日だけでは足りないだろうと。それに、亜佐飛としてはあの少年のことがひっかかる。千綺とは親しい間柄のようだから、千綺といればまた彼に会えるだろう。
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