第一話 いちばん好きな季節

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 亜佐飛はサラリーマンの父・栄尋(えいひろ)と、プログラミング塾を経営している母・知柚(ちゆず)のあいだに生まれた。現在十歳の、小学五年生。  亜佐飛にはふたりのきょうだいがいる。二歳年上の兄・澪史(みおし)と、二歳年下の弟・北登(ほくと)。戸祭家は五人家族だ。  亜佐飛は母ゆずりの大きくてぱっちりとした目をしている。手足が長く、顔が小さい。その見た目はまるでお人形のようだと、どこにいても目立っていた。  兄の澪史は目が大きくて、鼻が高い。弟の北登は小顔で首が長く、姉の亜佐飛より身長が高い。同じ親から生まれたきょうだいは顔が似たりするものだけれど、三人はそれほど似ていなかった。
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