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「それに、俺たちはまだ子どもなんだから、そこまで考える必要はないだろ。経営のことは大人にまかせておけばいい。今は子どもだからこそできることをやっておくべきだ」
千綺は桂夏に言う。ふたりは火花を散らす。同じホテル創業者の孫として、意見が対立しているようだ。
その時、着信音が鳴った。千綺は自分用のスマートフォンを持っているようだ。
「ごめん、僕、ちょっと行かなきゃ。亜佐飛ちゃん、また後でね」
千綺はその場を去った。
亜佐飛は桂夏とふたりきりになる。亜佐飛はまた緊張した。
「ごめん。私たち家族がちゃんと断ればよかったね」
亜佐飛は桂夏に謝る。
でも、亜佐飛が夏休みのあいだずっと泊まることを決めたのは、桂夏と話したかったからだ。あなたにむしされたままは嫌だったから、とここで正直には言えない。
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