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「うん。がんばって働いた甲斐があったよ」
今回、栄尋は家族をよろこばせるために、お金をこつこつと貯めていた。平凡な家庭の戸祭家としては、このホテルに泊まるのに背伸びをした感じだ。
「ベッド、お父さんはひとりで使っていいからね」
亜佐飛たちは栄尋に感謝の気持ちをこめて、一台のベッドをゆずる。
亜佐飛は母と一緒に寝る予定だ。澪史と北登が同じベッドで寝ることに。どのベッドもツインベッドなので、ひとりじゃなくても窮屈な感じはしないだろう。
「『イングロッソ』って、どういう意味なのかしらね?」
知柚はこのホテルの名前に疑問をもつ。
「インターネットで調べたら、出てくるんじゃない」
澪史がこたえた。長男で中学生の彼は、きょうだいでただひとりスマートフォンを持っている。さっそく調べているようだ。
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