第一話 いちばん好きな季節

5/35
前へ
/193ページ
次へ
「創業者が昔よくしてもらったスウェーデン人の名字、だって」  澪史がみんなに向かってしゃべる。 「なんだか、建物だけじゃなくて、ホテルにまつわるエピソードまでおしゃれだね」  栄尋が言った。 「スウェーデンはどこにある国なの?」  亜佐飛はたずねる。 「北ヨーロッパの国よ」  知柚が答えた。澪史はすかさずインターネットで調べて、亜佐飛がよりわかりやすいよう、世界地図のどのへんにある国なのかを教えてあげる。 「俺、人生のうちでスウェーデン人に会うかなあ」  北登が言った。戸祭家はまだだれもスウェーデン人と出会ったことがない。今後の人生で出会えたとしたら、それはすてきなことだ。
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!

56人が本棚に入れています
本棚に追加