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30分くらい経ち、少しずつ人が減っていった。一旦別行動していた美耶が野宮と一緒に駆け寄って来た。
「もう少し一緒にいれる?」
お母さんを見たら「うん」と頷いて先に学校から帰って行った。
「あ、2人で写真撮ったの?私撮ろうか?」
目の前のツーショットに向かって手でシャッターを切るジェスチャーをしながらおどけてみせた。
「…靴箱のトコで待ってるよ」
「何が?」
「渋谷」
今までで一番大きなキュンが身体を駆け抜けた。卒業証書を受け取る彼の姿に、心の中で「さよなら」を言った。もうそれで終わりだと思っていた。
式の後、体育館から教室に戻る時に借りていたハンドタオルを靴箱に押し込んだ。もうそれで終わりだと思っていた。
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