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「……そしたら、なっちゃんは……彼女作らない……?」
「うん。たけるがいるんだもん。作る必要ないでしょ?」
なっちゃんの提案に呆然としていたけど、大事なことに気が付いた。
「でも……なっちゃんは、俺のこと好き?」
好きでもない人間と付き合うのは気疲れするもんね。
なっちゃんが目を細める。優しい微笑みなのに、ちょっとだけゾクッとした。
「言ったでしょ? たけるといるのが一番楽しいって」
「う、うん」
「たけるはキモイって言ってたけど」
「え! いや、それは、冗談だし……嬉しかったよ? 本当は」
なっちゃんがニヤリと笑う。
「うん。知ってる」
あ、と思う間もなく、なっちゃんの唇が俺の唇を塞いだ。
カーッと体が熱くなる。触れ合っただけなのに、脳がグラグラ揺れた。
なっちゃんの唇は俺の唇をハムハムして、少し引っ張ってぷるんと離れた。
ドドドドドドドドドと心臓が早鐘を打つ。
ゆっくり目を開くと、なっちゃんの綺麗な顔が数センチ離れたところにあった。なっちゃんと真っ赤に染まる空しか見えない。
「な、なっちゃん、そと、なのにっ」
「照れてるたける、ばちくそカワイイ」
「かわっ……」
その後、俺は親に電話して少し遅くなることを知らせた。そのままなっちゃんの家に二人で帰って、本当に、なっちゃんに、抱かれてしまった。
お互い初めてのはずなのに、なっちゃんはすごく落ち着いていて、最初から最後まで俺をリードしてくれた。大変だったけど、最終的には俺も声なんか上げちゃったりして……。
「……はぁ、はぁ、なつ、なっちゃん……もう、ギブ」
「ん? もうダメ? 仕方ないな。じゃあ今日はここらへんでおしまいね」
「ひぃ……」
微笑んで髪を撫でながら、俺の頬に何度もキスしてくる。
もしかして、なっちゃん、俺のことめちゃくちゃ好きなんじゃない?
なんて思うくらい甘くて優しかった。
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