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 高校3年間の思い出が詰まった制服を着る、最後の日のことだった。  僕の少し前を歩いていたキミは、突然くるりと振り返った。 「ねえ、ヒロ。4月の1日に一緒に出かけない?」  後ろを歩いていた友人が、僕の背負っているリュックにぶつかって「おい」と文句を言った。その声は、彼のニヤけた顔を想像するには十分だった。 「ヒロ?」  少し不安そうなキミに呼ばれて、僕は歩くことを忘れていた足に慌てて力を入れた。 「いいよ」  わっと上がった周りの歓声に、顔が熱くなる。 「よかった。約束ね!」  キミと二度と会えないのは嫌で、だけどキミや僕の友人に冷やかされるのは恥ずかしくて。  勇気が出せなくてキミの後ろを歩くことしかできなかった僕にとって、キミの笑顔は眩しかった。
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