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 彼女はもうこの世にはいない。  後悔しても、何も変えられない。  伝えられなかった「好き」の気持ちは、一生彼女に伝わることはなく宙ぶらりんのままなのだ。  だけど、決めたじゃないか。もう後悔してしまうようなことはしないって。  君に謝って、想いを伝えるんだ。臆病な僕はいつもリードされてばかりだったけど、今度こそ、自分から。  23時50分。エイプリルフールが終わるぎりぎりの時間。  覚悟を決めてスマートフォンを握ったものの、去り際の君の表情が目に浮かんで指が動かない。  次の瞬間ピロンと響いた、メッセージの通知音。 『大嫌い』  まただ。僕は勇気を出すのがいつも遅いんだ。3つの文字が脳内をグルグルと駆け巡る。  大嫌い。  だいきらい。  そうか。そうだよな。  そのとき、『大嫌い』の上に並ぶ今日の僕と君の会話が目に入った。  嘘ばかりが並ぶメッセージアプリの画面。今日の会話で、本当のことは一つもない。  もしかして。  まだ23時55分。一つの可能性に賭けて、時計の針が進むのをじっと待つ。  時計は規則正しく時を刻み、長針と短針が頂点を指し示した。 『昨日はごめん。僕も君のことが大好きだ』  自分勝手な告白。こんな僕を、君は許してくれるだろうか。  既読の表示で君がメッセージを見たことはわかったけど、なかなか返事が来ない。  どうしてもこれ以上待てなくて、電話をかけた。
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