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Hyg Dig
彼が計量スプーン一杯のコーヒー豆をブラインダーに入れ、豆を挽く。
サーバーとコーヒーカップにお湯を注ぎ温め、ペーパーフィルターに挽いたコーヒー豆をセットする。
スケールの上で計量しながら、ケトルのお湯を周し注ぎ、コーヒー豆を蒸らす。
ーーーコーヒー豆の華やかな香りがフワッと立ち昇り、香ばしい匂いが充満する。
少しおいて、また3度に分けお湯をクルクルと円を描くように注ぐ。
コーヒーを注文してから5分程で、彼が手際良く丁寧に淹れたコーヒーを出してくれる。
香ばしさに包まれながら、一口目を口にする。
フルーティな甘味と、すっきりとした酸味が口の中に広がる。
私は大きく息を吸う。その味と香りを楽しむために。その時間を楽しむために。
そして、大きく息を吐く。ため息のように。
強張った身体の力が抜け、気分が解放されたような気がした。
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