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そうやって君はたくさん俺に気を配り、優しくして、甘やかしてくれた。
小中高を共に過ごし、同じ道を歩き、たくさんのことを話した。
君はずっと俺を見ていた?
俺はずっと君を見ていた。
始業式の体育館。壇上から見下ろす君の目。
あの瞬間からずっとずっと、俺は君に夢中だった。
この日を境に俺達三人は一緒に下校するようになった。偶然にもシロと同じアパートに住んでいた奈帆ちゃん。
俺の家の目の前に建つ茶色いアパート。
奈帆ちゃんは社交的で可愛らしかったからすぐに友達が沢山できたようで、きっと帰り道が同じ女友達も数人いたはずなのに、必ず帰りは俺達と帰った。
その理由をシロから聞いた。
奈帆ちゃんがいなくなった寂しいリビングで、聞かされた。
「お前の一日の出来事を聞きながら帰る時間が好きだったんだよ、奈帆は」
突き付けられる真実が苦しくてたまらない。
自分が情けなくて仕方ない。
そしてこのタイミングで思い出した、マカロンの記憶。あの日のシロはちょっと、何だかちょっとだけ違っていた。
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