君がくれるケーキはいつもちょっとだけ大きい

キャンディ

今日は入学式。少し伸びた身長と学ランに身を包む自分の姿を鏡越しに見て、悪くないと思った。

やっと二人に追いついた。
黄色い帽子と黒いランドセルに別れを告げ、今日から通学用自転車と学ランにスクールバッグが正装になる。

小学生から中学生になるのだ。

「そろそろ行くよー？」

一階から母さんの呼ぶ声が響いて聞こえた。
その声に「はーい」と返事をし、部屋を出た。
こんなにもドキドキするなんて自分でも意外だった。

私服から制服に変わるだけで自分が大人っぽくなった気がして嬉しかったんだ。

奈帆ちゃんはこの姿を見て何て言ってくれるかな？
シロは八重歯を見せて笑うかな？

二人の反応を楽しみに、俺は母さんと一緒にこれから三人で通う事になる中学校へと向かった。

桜が咲き誇る校庭と見慣れない顔ぶれに緊張が走ったが、ある人物のお陰でそれが軽減された。