渡されたストーリー

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「風に吹かれて、道路の上を舞う、コンビニのレジ袋 袋の中は空っぽだろうか? 俺にとっては、ただのゴミ 誰かが捨てた不要物だ かつて、価値があったであろう、その袋は、無価値な自分を否定するかのように、舞い続ける やがて風は止み、袋は静止する 一羽のカラスが、やって来て 興味津々に袋をつつく その瞬間に、袋が発したカサッカサッという音は、歓喜の声だろうか? 必要とされた喜びを、袋が、精一杯、表現しているのだろうか? 妄想は尽きない… ああ、お腹が空いた おい、そこのカラスよ 万が一、袋の中に美味いものがあったら、分けてくれ 明日には金が入るから お返しに、何でも好きなモノを買ってやるよ この場所で、待ち合わせにしよう 俺は、とにかく、腹が減っている 『おい、そこのカラスよ。万が一、袋の中に美味いものがあったら、分けてくれ。明日には、必ず、金が入るから。お返しに、何でも好きなモノを買ってやるよ。この場所で、待ち合わせにしよう』 俺は、考えを、声に出す  だって 想いは、声に出さないと、伝わらない、ものだから 俺は、考えを、声に出したんだ… カラスが、チラッと、俺を見て、カァと鳴いた」
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