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「……知って、たんですか?」
「あぁ」
「う、そ……」
「本当。まあ、それは後から話してやるよ。それよりも、大事なのは、こっち」
繋いでいた手に
ギュッと力を入れた奏さんは
目の前にいて
私同様に今の状況を
把握できずに呆然と立ち尽くす
田辺さんのことを鋭い目つきで睨みつけた。
「俺の大切な人、いじめるのやめてくれない?言いたいことがあるなら、ひかりじゃなくて直接俺に言え」
初めて聞く
奏さんのドスの利いた低い声。
その声が
私へと向けられていないと
わかっていても身体が
ビクッと硬直して反応せずにはいれなかった。
「どうしてよ!」
「あ?」
「どうしてこの子なの?見た目も普通だし、それに奏のサポートだって貴方の仕事を理解してる私の方が」
「貴方の仕事を理解してる?……はっ、笑わせんな。仮にそうだったら今、俺とお前は別れたりしてないだろ」
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