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私の
隣にいるのは
私が知っている
奏さんなのかと疑ってしまうほどに
冷たい目と低い声で田辺さんに話をする奏さん。
けれど
繋いだままの
手の温もりは間違いなく奏さんで
不安がる私に言葉の代わりに
安心しろって言ってくれているように思えた。
「俺は今後一切、お前の添乗するバスには乗らない」
「な、なに言ってるの!そんな、ワガママ通用するはずないじゃない!」
「さっき運行管理者と話はつけて来た。お前が私情ばかり挟んできて仕事にならないと言ったらすんなり承諾された」
「……意味わかんない、バカじゃないの!そんなことして仕事が減っても知らないわよ!!」
「仮にそうだとして仕事かひかりか。……なら、俺は迷わずにひかりを選ぶ。」
繋いでいた
手を引っぱられ
私の身体は
奏さんの腕の中へと閉じ込められた。
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