15/15
前へ
/140ページ
次へ
……どうしよう。 不謹慎なのは百も承知。 けれど 奏さんの言葉が 嬉しくてたまらない…… 「……何よ。この子のなにがいいのよ!私のなにがいけないの!?」 「お前は結婚してもいい人。ひかりは俺が結婚したい人」 「……」 「それがすべて」 奏さんの 言葉を書いた瞬間 彼女は自分に 勝ち目がないことに気づいたのか 何も言わずに私たちの前から去っていった。 「田辺さん、泣いてた……」 「同情はしてやらない方がいい。余計あいつが惨めになる」 「……はい」 山下さんが 言ってたことは本当だった。 人は失って 初めてその人の大切に気づく。 けれど 気づいた時には時すでに遅し。 だからこそ失う前に 気づいて行動しないとダメなんだ…… 大切な人と これから先もずっと 一緒にいるためには 現実から目を背けたらいけないんだ。 「奏さん……」 「ん?」 「私、奏さんに今更ですけど聞いて欲しい話があります。」 .
/140ページ

最初のコメントを投稿しよう!

154人が本棚に入れています
本棚に追加